全身が浮揚する感覚

視界の片隅に、ソファに座った遠見夫人がハンディビデオを手にして二人の交歓を撮影しているのが見えた。

自分と同じ、欲望に忠実な人。

そして、私の欲望にもきちんと報いてくれる人。

この男は私へのプレゼント……

「あっ、ああーっ」

脊髄を走る甘い電流に、今日子は背中をのけぞらせて腰を落とした。

二本の指が花園の周縁部を挟み込むように入り込み、すでに淫液でコーティングされている花弁を掻き乱したのだ。

男の逞しい腕にすがりつくように体重を預けた今日子の腰に、そのとき固く当たるモノがあった。

(ああ、コレだわ。コレよ……)

男に背後から抱かれる体勢のまま、今日子は手を後ろに回し、勃起した肉根を探った。

(あった……ああスゴイ。こんなの、初めて)

信じられない固さとバネのような弾力。

灼けるように熱く、ドクドクと脈打っている。

ソフトな愛撫の裏面にある、男の野獣のような肉欲のたぎりが、そこに集中しているように思えた。

今日子は、男の股間から生えている太い幹をしっかり掴むと、男の腕の中で躯を回転させ、正対する。

「来て、こっちへ」

深い呼吸に胸を大きく弾ませながら、今日子は言った。

肉棒を持って男をぐいと引き寄せる。

男は、手綱を取られた馬のように、アトリエの中を今日子に従って進む。

大きな黒革張りのリクライニングチェアのところまで男を引き立ててくると、今日子はそれに腰掛けた。

背中に体重を掛けると、背もたれの部分がゆっくりと倒れていく。

「さあ、来て、私を、ファックして」

今日子は、ベッドに早変わりした椅子の上で、両腕を上に引き上げ、脚を少し開いて湿った草むらと、その間からチラチラのぞく淫肉を男に示した。

命ぜられるまま、男は膝を置く場所を慎重に選びながら椅子の上に乗った。

太いサーベルのような男根が距離を縮めてくる。

今日子は膝をグイと開き、腰を上げて男のモノを迎え入れる体勢を取った。

「それ」が蜜液で満たされた膣内に押し入ってきたとき、今日子は吸い寄せられるように全身が浮揚する感覚にとらわれた。

実際、大きなうねりが下腹部から全身に広がり、今日子は思わず右手で椅子の縁を握り、左手は男の腕を掴み締めた。

酸欠の予感がする。

(ああ、スゴイ、こんなの、初めて。もうイッちゃう。イカされちゃう……)

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