なかなか可愛い顔立ちだ。
「私は朋美」
「主婦?」
「そう」
「子供は?」
「まだいません」
ブルブルブル……
携帯がまた鳴っている。
カズヤは適当に返信した。
「さっきのことだけどさ、まさか変なこと考えてないよね」
「変なことって?」
「川をじっと見て泣いてたから」
朋美はうっうっと嗚咽を始めた。
「私なんて、私なんていないほうがいいんです」
「いないほうがいいって、何でさ」
「主人は私のこと愛してないんです。
他に好きな女性がいるんです」
「何でまた」
「主人が学生時代に付き合っていた女性が、離婚してバツイチになったんだそうです。
それで同窓会で主人と再会して、また付き合うようになったんです」
「証拠はあるの?」
「携帯をこっそり見ちゃったから。
それに……今日は私の誕生日なんです。
誕生日に主人が一緒にいてくれなかったことは初めてです。
多分、彼女の家にいるんだと思います」
カズヤの中に何か不思議な感情が起こった。
いつからか忘れていた純粋な気持ち。
急に朋美がいとおしく感じ、そっとベッドに倒した。
「ひどいご主人だね」
カズヤは朋美に唇を重ねた。
「……だめよ」
朋美は両手でカズヤの胸を押して抵抗した。