「おおっ、おおっ」
と吠えるような声が規則的に夫人の口から漏れる。
腕はまっすぐに伸ばされ、手はラグを巻き込むように掴んでいた。
間もなく目が固く閉じられ、ラグを掴んだ手がブルブルと震えた。
かすれたような呻き声が、気をやったしるしだった。
男は抽送のリズムを早め、夫人の快感を高める。
「ああ、よかったわぁ。
ねぇ、もっと、もっとよぉ」
夫人は前歯を剥き出しにして、さらなる交合をおねだりする。
男は前傾姿勢を強めて、腰の律動を再開させた。
「そう、そう……もっと強くして、そうよ、そうよ」
頭を捩って男に呼びかけた夫人は、舌なめずりして、また目を閉じる。
オーガズムと弛緩を繰り返しながら、夫人の肉体は性感で充満していった。
「奥様」
男は何回目かのアクメを迎えた後の夫人に呼びかける。
セックスの最中とは思えない、冷静な声だ。
「なあに、カンちゃん?もう時間?」
「残りあと10分です。どうしましょう?」
「……延長ができればいいのにね、仕方ないわ。イカせて」
「はい」
男は、夫人の躯に密着すると、これまで以上に激しく責め立てる。
「ううううう、あああああ」
最後の絶頂に向けて、夫人は盛大によがり声を上げた。
疾駆する男の額には、ようやく汗がうっすら浮かんでいる。
深く突きを入れながら、男はクネクネと腰を回した。
「ああっ、カンちゃん、イク、イクイク……イクゥーッ」
激しく顔を横に振った勢いで、眼鏡がとうとう弾け飛んだ。
小山のような肉体はブルブルと揺れ、揺り戻し、悶えるように上半身を捩り、半身になれずにまたバターンと元に戻る。
若い男は静かに身を離した。
射精することなく二人の熟女を絶頂に追いやった男根は、太さと固さをなおも保っていた。
しかし、脈動が弱まりつつあるのを、男は感じていた。